ふぐ料理、一考

 先日、下関ふく業界の大先輩との会食で、天然トラフグの「大皿ふく刺し」=写真=をいただきました。皿の大きさは1尺3寸(およそ40センチ)で、下関伝統の菊盛りです。活かしの状態から捌いて、刺身にできる上身(じょうみ)で一昼夜締め込んで手間と技術をかけて調理された天然物の刺身ですから、おいしくないわけがありません。

 とはいえ、同席させていただいた先人に言わせると、まだまだ上がある様子で、「昔は同じ下関でも、それぞれの店で特色があったもの。こんな古狸が口を出すべきではないが」と言うのです。海が違う、捌きも締め方も違うし、なにより薄く引く技術も別物かもしれません。

 最近、水槽で生かしたのを手早く食べさせる<泳ぎ>とか、身が薄いのよりも<厚切り>が旨いといった売り文句で、高級料理のふぐを安価に売る店が元気なようです。とはいえ、本場下関を知るものとしては、泳がしですぐに食べさせるなら手間暇かからないし、厚切りなら包丁が扱える料理人ならすぐにできるし、そもそもフグの質もあまり問われないでしょう。つまり、私たち本場下関の先人・先輩たちが考え抜いて作り上げてきたフグを最もおいしく味わうための、目利きの経験をはじめ、関わる時間と技術を省いてしまっているから、安いのだと思います。食べる消費者の皆さんにとっては、選択肢が広くなって良い時代かもしれませんが、同じふぐ料理でも似て非なると言いたいのが本場です。安いには安いのわけがあります。

 「本場には本場のわけがある」-これぞ本場下関というキャンペーンを思案中です。事務局。

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