ふぐの毒
・よく知られているように、ふぐは強い毒を持っています。
・この毒はテトロドトキシンという物質で、毒物として名高い青酸カリの1000倍近い強さがあるといわれています。
・テトロドトキシンはふぐ以外にもアカハライモリ、ツムギハゼ、ヒョウモンダコ、スベスベマンジュウガニなどいくつ
かの生物でも確認されています。
・ふぐは多くの種で内臓、皮膚、血液、筋肉の全部または一部にこのテトロドトキシンを持っています。
・このため、食用できるふぐの種類、漁獲場所及び部位が決められており、ふぐによる食中毒を防ぐためにはこれを守る
必要があります。
・さらに、ふぐの種類の判別は素人にはむつかしく、食用可能な部位はふぐの種類によって異なるので、素人判断や素人
によるふぐの取扱・調理は非常に危険です。
・実際、我が国の食中毒による死亡事故の原因の多くがキノコとふぐの素人料理であり、ふぐによる事故の大部分は、釣
りをする人が、自分で釣ったふぐを自分で調理し食べたことによるものです。
・厚生労働省の統計によると、平成15年~平成28年の14年間でのふぐによる食中毒発生状況は
件数 388件
患者数 547名
死者数 17名
でした。さらに、これらのうち家庭で発生したものは
件数 290件
患者数 362名
死者数 12名
であり、家庭内での事故がいかに多いかを物語っています。
・ふぐ毒のテトロドトキシンは熱に強く、300℃以上に加熱しても分解されません。したがって、加熱調理で無毒化す
ることはできません。
・免疫性が全くなく、ふぐ中毒の治療のために免疫血清をつくって治療することもできません。
・ヒトに対する致死量は経口摂取の場合、1~2mgとされています。
・テトロドトキシンは神経毒であり、神経細胞に作用して正常な神経伝達を遮断するので筋肉がマヒします。このため、
脳からの呼吸に関する指令がさえぎられ、呼吸器系の障害が起き、それが死につながるのです。
・ふぐ毒を摂取した時の主な症状はマヒであり、摂食後20分程度から数時間で症状が現れます。意識がハッキリしたま
まマヒは急速に進行し、24時間以内に死亡する場合が多くなります。
・ふぐ中毒に対しては特効薬や特異療法は存在しないため、現在のところ解毒方法は見つかっていません。
・ふぐ中毒によるマヒ症状が認められたら、一刻も早く病院に搬送し、人工呼吸などの適切な処置を施せば致命率は高い
とされます。
参考文献・資料
1、Wikipedia 「テトロドトキシン」
2、Wikipedia 「フグ」
3、厚生労働省HP 自然毒のリスクプロファイル
魚類:フグ毒
フグによる食中毒発生状況
4、「ふぐ」 第十一版 社団法人 山口県食品衛生協会
5、「ふぐ」 三重県健康福祉部薬務食品室監修